11月15日

1533年11月15日、スペインの征服者フランシスコ・ピサロ率いる遠征隊が南米アンデスの中心、インカ帝国の首都クスコに入城しました。 当時、指導者アタワルパの処刑直後で、帝国は激しい混乱と衰退の途上にありました。 ピサロは少数の兵力で都市を掌握し、金銀財宝を略奪して勢力を拡大しました。 クスコ陥落はインカ帝国崩壊の決定的瞬間となり、スペインによる植民地支配が本格化しました。 以後、ピサロは新たな拠点リマを建設し、南米征服の歴史を大きく塗り替えました。

1864年11月15日、アメリカ南北戦争において北軍のウィリアム・シャーマン将軍がアトランタ攻略後、ジョージア州を東方へ横断する「海への行軍（March to the Sea）」を開始しました。 この作戦は敵の補給路や物資を徹底的に破壊する焦土戦術を伴い、南軍の戦意を著しく低下させました。 シャーマン軍は鉄道橋や倉庫を破壊し、民間施設にもダメージを与えて南部経済を混乱させました。 数週間にわたる行軍の末、12月にはサバンナの海岸に到達し、連邦軍の勝利を確実なものとしました。 その戦略は戦争終結への決定的な一手と評価され、軍事史上の教科書的作戦として知られています。

第三次ソロモン海戦第二夜戦（1942年11月15日）、アメリカ海軍の戦艦ワシントン（BB-56）が日本海軍の戦艦霧島を砲撃し、これを撃沈しました。ソロモン諸島周辺で展開されたこの海戦はガダルカナル島の攻略戦を巡る攻防の一環でした。霧島は被弾後炎上し、沈没の際に多くの乗組員が戦死しました。日本艦隊はこの損失を受けて戦況を見直し、以後の南太平洋方面作戦に影響を与えました。この戦闘は近代戦艦同士の火力戦の一例としても知られています。

1950年11月15日、朝鮮戦争の最中に元山沖を航行していたアメリカ軍大型曳船LT636号が機雷に触れて沈没しました。当時、徴用された日本人船員27名が労務提供しており、そのうち22名が犠牲となりました。この事故は戦地近海での海上交通の危険性を象徴し、未処理機雷の除去と航行安全確保の重要性を浮き彫りにしました。戦後初期の日本人被害者としても知られ、両国の関係史における悲劇的事件として語り継がれています。

1974年のトルコ軍介入以降、南北に分断状態が続いていたキプロス島で、1983年11月15日に北部住民主体の北キプロス・トルコ共和国が独立を宣言。 国際社会の大半はこれを承認せず、現在に至るまでトルコ以外の国は正式な国交を結んでいません。 宣言はキプロス島の帰属問題を複雑化させ、ギリシャ系住民との対立を長期化させる要因となりました。 国連や欧州連合は両コミュニティ間の共存を模索し続けていますが、和平交渉は難航しています。 この独立宣言は冷戦期の地政学的緊張の一端を示す出来事でもあり、現在も解決が見えない紛争の象徴となっています。

1988年11月15日、パレスチナ民族評議会はアルジェで会合を開き、パレスチナ国の独立を一方的に宣言しました。 この宣言は中東和平プロセスにおける重要なマイルストーンと位置づけられ、国際社会の注目を集めました。 アメリカやイスラエルは直ちに否定的な反応を示したものの、ソ連をはじめ複数の国が支持を表明。 国連総会も同年12月に観察者国家としての地位をパレスチナに付与しました。 現在のパレスチナ自治政府樹立への前提となった歴史的宣言です。