ハマベンケイソウ (浜弁慶草)
学名:
Mertensia maritima subsp. asiatica
科名:
ムラサキ科
説明
ヨーロッパ北部原産のムラサキ科の多年草で、日本では北海道から本州の海岸部に分布します。茎は地表を這うように伸び、肉厚で青緑色の美しい葉を持ちます。7月から8月にかけて青色のお椀型の花を咲かせ、咲き始めは淡紅色を帯びます。名前は「浜弁慶草」ですが、実際はベンケイソウ科ではなくムラサキ科の植物です。海岸の厳しい環境に適応した植物で、塩害に強く、砂地でも良く育ちます。葉は生牡蠣のような味がするとされ、ヨーロッパでは食用にも利用されています。
豆知識
- 葉の味が生牡蠣に似ているため「オイスターリーフ」と呼ばれる
- フランスの高級レストランでは貴重な食材として使用される
- 海岸の砂地という厳しい環境に適応するため肉厚の葉を持つ
- 現在では希少植物として保護対象になっている地域もある
利用方法
観賞用
- 海岸庭園での栽培
- ロックガーデンの植栽
- 多肉植物コレクション
薬用
- 民間療法:のどの痛みの緩和
- 抗炎症作用が研究されている
- ビタミンC、ミネラルが豊富
注意:
採取は環境保護に配慮して行う
毒性
症状:
一般的に安全だが、野生個体の採取は環境への配慮が必要
イワレンゲ (岩蓮華)
学名:
Orostachys malacophylla var. iwarenge
科名:
ベンケイソウ科
説明
日本固有のベンケイソウ科の多年草で、関東以西から九州の海岸岩場に自生します。根出葉がロゼット状に配列し、その姿が蓮の花に似ることから「岩蓮華」と名付けられました。葉は多肉質で扁平、倒披針形で長さ4-6cm、粉白を帯びた白緑色をしています。秋(9-11月)に花茎を伸ばして小さな白い花を密集して咲かせます。開花後は枯死しますが、腋芽や走出枝で繁殖します。現在では自生地の減少により、多くの地域で絶滅危惧種に指定されている貴重な植物です。
豆知識
- わらぶき屋根の上に生えることがあり、「屋根のタマネギ」と呼ばれることもある
- 山口県と茨城県では絶滅危惧種に指定されている
- 一度開花すると枯死するため「一稔性植物」と呼ばれる
- ロゼットの直径は5-10cmと小さいが、花茎は30cmほど伸びる
利用方法
観賞用
- 多肉植物コレクション
- ロックガーデンでの栽培
- 盆栽として仕立て
薬用
- 民間療法:やけどの治療
- 葉の汁:皮膚炎の緩和
- 抗炎症作用が研究されている
注意:
希少植物のため採取は避け、栽培個体を利用
毒性
症状:
一般的に無毒だが、希少種のため観賞のみに留める